2009/3/30 : 朧……村正……(きのこ) |
◆◆◆ 澄みきった冬の晴天。 教室の喧噪も遠く、屋上からの風景はどこまでも広く穏やかで、垣間見える街の温かみに、つい頬がほころんでしまう。 主人公と少女(ヒロイン)の、二人だけの休み時間。 秘密を共有するようなくすぐったい空気に、凝り固まった仮面少女(ヒロイン)の心は解かされていく。 二人はごく当たり前な、それでいてかけがえのない会話を交わす。 将来のこと。学校のこと。 好きな食べ物、部活の悩み、最近のお気に入り。 互いに気を少しずつ許しながら、友人から恋人への距離を測ろうとする心地いい時間の中、 「あ、そうだ」 本当に自然な流れで、何の疑問もなく橘さんは切り出した 「―――ところで、絢辻さんは勝負パンツって持ってるの?」 ◆◆◆ “おまえのようなHENTAIを待っていた―――” なんて、殺し屋一の最終決戦が目蓋にうかぶギャルゲーってなんなんでしょうね。 全国のギャルゲー愛好家の皆さん、ごきげんよう。 紳士として爽やかな朝を迎えていますか? 先輩、クラスメイト、後輩、分け隔てなくスキンシップ(※誤用であるコトはきちんと本編で語られている)を重ねていますか? 高校生にもなって柵にはまった幼なじみに野良犬のフリとかしちゃってバックアタックしちゃってますか? そんな、今もっとも「Fallout 3」の世界にたたき落としてみたい主人公No・1の座に君臨する橘さん(※橘さんというのが主人公のデフォ名)が縦横無尽に活躍する学園恋愛シュミレーター、「アマガミ」の世界へようこそ! ほんとは全キャラ楽しんでからつらつら所感を述べたかったのですが、だめだ、無理! 今作はとんでもないボリュームにつき、まだ先輩、仮面、七咲しか楽しんでおりません。 引き続き、ふかふか、ライオン丸、大本命(梨穂子)とのバーチャルライフに突入したいと思います。 「アマガミ」は言うまでもなく『快適な学園恋愛ゲーム』を突き詰めてきたシリーズの最新作なワケですが、今回はよくここまで……!と素直に嬉しくなる仕上がりです。 会話からランダム性を廃止し、システムを把握すればスムーズに進めていけるようにしたのはイージーにしたのではなく、時代に合わせてノンストレスな方向に進化したのだと思います。 反面、画面作り、演出自体はオーソドックスですが、立ち絵の表情、目パチ、口パクに関しては現状、最高峰の一つかと。 (サクラ大戦のリップシンクもこだわりだったけど) ホント、ものすごく気を遣っている。“キャラクターを魅力的に見せる”こだわりは恐ろしいほどです。前作「キミキス」でも一瞬だけ見せる表情の妖しさ、可愛さに気を遣っていたスタッフですが、今回はさらに磨きがかかっています。 キャラデザ、立ち絵の可愛さはもう当たり前として、細かい演出―――最小限の動きにこめられた最大限の手間も「アマガミ」の魅力の一つ。紙芝居紙芝居と言われてきたけど、その紙芝居だってここまでくればもはや立派な芸なのです! ああ、あと橘さんの人間力もネ! このゲームは橘さんの蛮勇にツッコミながらプレイするとより美味しくいただけます。 」 ところで、本作はさりげなく八十年代のお話っぽいですね。 実は携帯電話がなかったり、お宝本などという死語(これ自体が死語ですが)のとびかう、たいへん牧歌的な、まだサブカルが市民権を得ていなければ、ドSドMなどという属性付けもなかった時代。 言うなれば「キミキス/ゼロ」。 ……そして、こんな素朴な時代にあれだけの紳士力を放つ主人公がどれほどの魔人であるかを考えるとちょっと怖い。当時、あれだけ「ちょっとおかしくね?」と言われていた光一君(キミキスの主人公)ですが、あれはあれで立派に育った方なのです! ……良かった、変態の血は薄れていったんだね…… とまあ、そんな小難しいコトは置いておいて、あのパッケージにちょっとでもトキメいたのなら迷わずプレイすると吉。 我々は幸福である。 たった六千円で、一時の理想郷が手に入るのだから……まあ、今回は色々ねじまがった理想郷ですがね! そんなワケで、以下は十二時間分の感想の垂れ流し。プレイした十人中、九人が同じツッコミをしたコト請け合いです! ◆ ・先輩が可愛すぎてお腹いっぱいに。ごめんなさい、伊藤静さんの演技力の幅を見誤っておりました…… でもあのヒロイン(先輩)、基本おバカだよね! ・主人公はそれを上回る変態だがな。 ・梨穂子はかわいいなあ! ・どんな経緯かはネタバレなので語れないが、あるヒロインは本当に子犬にされてしまう。しかも戻れる保証なし。どう見てもホラーなのに笑顔で受け入れるバカップル。 ・そして、前足逆立ちではしゃぎながら走っていく犬(ヒロイン)の後ろにいた主人公。 「待てよ、これってまる見えじゃないか!」 (数秒ほどウエイトした後) 「……何を言っているんだ僕は」 ほんとに何を言ってるんだおまえは。 ・仮面(絢辻)が破面した時の目つきは、あきらかに傭兵経験ありの目。きっと二、三人殺している。 ・ていうか、内面を知った後だと通常の顔がいかにドS的なものか理解できますよね。高山さんは最高の仕事をしたよ! ・仮面委員長とのスキ&ナカヨシルートでの扱い……ふふふ……心が折れそうです(デモンズソウル的な意味で) ・梨穂子はかわいいなあ!! ・ちょっ、あの変身イベントって仮面にもある……まさか、全キャラ分あるのかコレ!? ・仮面のナカヨシED直前の、あるイベントについて一言。 子供達におかしを配るヒロイン。状況だけみれば世界名作劇場なのだが。 ヒロイン「あたし、サンタクロースになれてるかな……?」(涙ぐみながら) ははは、おまえのようなエロいサンタ(服)がいるか(ケンロシウ談) ・プレイ前のある会話。 武内「七咲こそ至高」 奈須「はあ? 先輩こそ究極だろうが」 プレイ後。 奈須「すみません、七咲さんのポテンシャルをみくびっておりました……」 ・(遊園地の背景BG、初見時) いや、この遊園地はおかしい。 ・(小学校の滑り台、初見時) いや、その滑り台はおかしい。 ・というか、ヒロインみんな空気読んでスルーしてるけど、この主人公はおかしい。 ・アナカリス→王家の呪い→ファラオ→ラーメン。 よし、だいたいあってる。 ・廊下にて。指先が寒くなってきた、という理由で下級生のスカートのポケットに手を入れる先輩ってどういう精神構造? 神なの? 死ぬの? ・温泉にて。このゲーム十五禁でいいのか真剣に悩んだが、なに、死ななきゃ安い。見せなければどうというコトはない。 ・梨穂子はかわいいなあ!!! ・犬(わん)ライフ、犬(わん)デス。 ・「やることがないな……。よし、暇つぶしに水泳部でも覗きにいくか」 信じてもらえないとは思いますが、ゲーム上では「仕方ない、本屋によって参考書でも買って帰るか」ぐらいのニュアンスで使われてます。 ・橘さんがその本性を明らかにするのは後半から。仮面優等生と橘さんはほんとベストカップルですね! キビトに舞い降りた黄金律や!(ドSとドM) ・……と思ったら、主人公はどっちもいけるクチだった……まさか……「そのヒロインが理想とする男性像」に変化する能力者、だと……!? 以上。プレイ済みの方には言うまでもないでしょうが、こんな感想は氷山の一角にすぎません。 あんなヒロインを堂々とパッケージにそえ、なに食わぬ顔で普通のギャルゲーを装った「アマガミ」は間違いなくダメな僕ら向けのゲームです。 おそらくは無自覚なままコンシューマーの限界に挑戦したであろうスタッフの狂気を、君よ知れ。 ◆ そんな私ですが、デモンズソウルでただいま三人目のキャラでございます……。 モンスターハンターにはまっていった友人たちの気持ちが、ちょっとだけ分かっちまった…… 頭にイカ兜、それ以外ブラックレザーで探すものの大剣二刀流のキャラがいたら容赦なく切り捨ててください。でも吸魂は勘弁な! |