竹箒日記 : 2010/06


2010/6/6 : ゾンビ×進化×マリオ=銀河(きのこ)
風魔環太郎とはなんだったのか。(挨拶)


こんにちは、ピクリとも動きのなかったきのこです。
五月はフツーに土日が休みというまっとうなワークライフでした。
久しぶりに小説にゲームにエロゲーにときのこ無双。
仕事の報告はまだ出来ないので、とりあえずいつもの
「気に入ったものを、お父さんに絵本を読んでとせがむ幼女のように勧める」
モードに入るぜ!



小説。「WORLD WAR Z」。
ゾンビものの傑作。よく「ゾンビ病が蔓延して文明が滅んだ」というシチューエーションはありますが、本書は「この工程なら確かに人類は滅亡まで追い込まれる」というシミュレーションでもあり、死者VS生者(というか人類)の一大決戦エンタでもあります。
とにかく基本設定が秀逸。それを描ききる筆力もまた秀逸。ぶっちゃけたところ、ゾンビより人間の醜悪さのほうが何倍もおぞましく、また、そのおぞましさの中に、ほんの一握りだけ光る人間の善性が素晴らしい。そしてシン将軍の人間力は素晴らしいとかそういうレベルじゃない。インドにシン将軍があと十人いたらフェイズ3で勝ってたレベル。
「ゾンビものには興味ないんだけどなー」という人にお勧め。なにしろ自分がそうでした。
ても日本の描写だけは許さない。絶対にだ!
映画化の際は日本のエピソードだけスルーでお願いします。ダメか。ブラピ日本好きだもんな。いっそ身の丈ほどのグレートソードもったイケメンがゾンビどもをなぎ払ったり日本刀を気の力で伸ばしてゾンビ無双するならあり。「十三劼筺廖



コンシューマ。
「メタルギアソリッド ピースウォーカー」はPSPゲーの頂点すぎてもはや何を語るまでもない。デザイン、演出、グラフィック、すべてにおいて最高峰。ジャンルの好き好きはあれ、全体のパッケージ力としてコレが満点でなきゃどれが満点なんだって話ではないかと。……などと言いながら自分には難しすぎてピューパで止まっていますが。

一方、そんなそんな怪物と対局にあるのが「ニーアレプリカント」でした。
総合力よりセンスが全て。この作風が肌に合う人間にはたまんない二十時間。
二週目のPちゃんとクレオはABより泣ける。つーかBGMに「カイネ/救済」を流せば、コミケで外周に並んでいるシーンですら泣ける。

そして昨日から「マリギオギャラクシー2」をちまちまプレイしはじめた。
相変わらず『遊びの想像力』を鍛えるにはもってこいのゲームです。
余談ですが、ひそかにマリギャラ1のメインストーリーの泣かせ度は異常。絵本の演出が上手すぎる。



エロゲ。「エヴォリミット」
実はついさっき「エヴォリミット」が終わり、その興奮が冷め切らなかったのでこうして日記を書いている始末。
細かな枝葉で色々と残念なところはありましたが、根幹にあたるテーマがどっしりと貫かれていたので問題なし! いいんだよ、細けぇコトは。久しぶりにいいエロゲーを楽しんだ!
同ライターによる過去作「あやかしびと」「BB」が『決められた枠組み(舞台)の中で、上質なドラマを楽しむ』ものだったとしたら、エヴォリミットは『物語の“枠組み”がどこまで転がるのかをワクワクする』ものでした。

MVPはやはり主人公のシラヌイ君。
過去二作より本作の日常シーンが楽しかったのは、シラヌイさんがお正月の日の出より爽やかなヘンタイだったから。

しかし。
しかしだ。ライターの性というか、自分だったらこうする、という言わなくてもいい欲望がムクムクと沸いてとまらねえ。こういう“もったいない探し”はいい作品であった証拠なんだけど、いや、ほんと色々もったいない。
パッチが万能すぎて戦闘の緊迫感がないのは、「戦闘」より「進化」に重きを置いているから仕方ねえとしてもだ。
群体である×××はシズクの一人にしぼった方が無理がなかったろうし、
シラヌイ、シズク両名の能力もあの最終段階に至る説得力が欠けているし、
なにより、進化全肯定なことに違和感が。
進化を恐れる理由が「人でなくなるから」だけではなく、「進化」そのものを否定するカウンターになる重要人物がいれば、最後は違った盛りあがりになるのでは、と思ったり思わなかったり。

でも、それはあくまで奈須きのこ個人の選択。
東出裕一郎はその選択を選ばなかった。それだけの話だ。作中でもあるように、進化の方向は一つではない。
各々が「これで良し」と思った方向に進んでいけばいい。

彼らはコースを造った。
彼らは心血を注ぎ、魂を削る思いで、そのコースでのベストラップをたたきだした。
なら、そこに誰が異論を挟めよう。
コースの形に疑問があるのなら、自分が良しとするコースを見に行けばいい。


私は東出裕一郎の作るコースが大好きだ。
そして彼は、今回も魅力的なアタックを見せた。


―――大満足だ。充実したプレイ時間をありがとう。
つまるところ、エロゲーという必要最小限の人間で作れるゲームへの感想なんて、そんなもんで良いと思う。

    ◆

まあ、それはともかくとして。
アクアルートがないコトだけはコースミスと言わざるを得ない。
赤面する軍服美人は萌えるよね!











2010/6/9 : 届いたぞー!(きのこ)
 マスターアップ!
『Fate/EXTRA』マスターアップの報せが届きました!
 二年越しのプロジェクト、スタッフの皆さんお疲れさまでした。

 これで本当に、確実に、7月22日に“まったく新しい、RPGとして型月伝奇”をお届けできそうです。



 そう、まったく新しい。
 誤解を恐れずに言えば、『Fate/EXTRA』はライター奈須きのこの、何年かぶりのFateとしての完全新作です。

 当初、自分の受け持ちは設定作成とキーポイントになる場面のシナリオ作成でした。
 敵サーヴァントの登場や退場、味方サーヴァントとの交流を描くのが主な役割です。
 が、気が付けばテキスト回りをまるまる担当していました。
 それもひとえに『Fate/EXTRA』が魅力的なゲームに育っていった故。
 EXTRA制作後半の奈須は、例えるならFate/zeroにおける龍之介とキャスター組そのものでした。
 新納一哉(龍之介)というマスターが道を示して、
 奈須きのこ(キャスター)というサーヴァントが好き勝手暴れた感じ。

龍「ダンナ。ここであのサーヴァントをちょろっと倒そうと思うんだけど、どうよ? ストーリー上の脈絡とかないんだけど、正直、そろそろ幼女分を補充しないと生きていけない」
キ「―――素晴らしい。迷うことなく邁進しなさい龍之介! 装飾、捏造、扇動、説法、つまるところテキストこそが我が宝具ですからね! 辻褄合わせこそキャスターの本懐! ええ、いま起きた事実を語る仕事はすべて私にお任せあれ。もう思う存分、しつこいぐらいFate色に塗り替えてさしあげましょう! ……そのかわりマイルームとかボイスとか、可能なかぎり追加してほしいなー!」

 みたいな。

 なので、正確には「設定作成・監修、テキスト作成・監修」という仕事でしたが、この違いは一言では伝えられないので「シナリオ/奈須きのこ」とさせていただきました。

 色々と込み入った工程でしたが、ええ、ぶっちゃけた話、最終的には完全に好き放題やらせていただきました!

 今は自信を持って「面白いものを書いた」と胸を張れます。
 メルブラとかアンコとか劇場版空の境界にかまけていた奈須ですが、
 まるまる一本、自分色テキストのゲームを出すのは実に三年ぶり。
 一ユーザーとしてもスタッフの一人としても、今は「RPGとして体験する聖杯戦争」に胸を躍らせています。


 同時に、先行していたタイトルである『魔法使いの夜』『DDD』より先に『Fate/EXTRA』が世に出る事を、強く反省しています。
 待っていてくれるユーザーの皆さんにし謝罪と、感謝の言葉を。並行して作っているので、もう少しだけ温かく見守ってくださいませ。
『魔法使いの夜』に関しては、6/21に色々とお知らせできると思います。
『DDD』に関しては―――んー、まあ、去年書いたものが、もうすぐ発売されたりされなかったり?


  ◆

 とまあ。
 そんな内輪事情より、『Fate/EXTRA』とはどんなゲームなのかを分かりやすく説明するのが自分の役割なんですが……これがホント、口頭で説明したところで単語の羅列になってしまうというか。

「なあkinoko。EXTRAって見た目ペルソナ、内容シレンなの? つーかライダーさん(stay night仕様)がいないとか、きのこは舐めてるの?」
 と知人からお叱りのメールを受けるも、

「うるせえな、むろし天外魔境兇世茵天外でいうところの一国を攻略する=その回戦を突破する、と思えばたいへん目安になるでしょう。それが最後の一人になるまで続くと思いねぇ」
「ゴクリ。では、はまぐり姫に該当する敵マスターがいると?」
「……他人のコトは言えねえけど、アンタもたいがいオールドゲーマーだな」

 などと、こんな感じでイメージを伝えるのが精一杯。
 もういいかげん試遊会を開くのはどうか、とマーベラスの偉い人にお願いしてみましたので、予算の都合とタイミングが合えば、秋葉あたりで一足先に『Fate/EXTRA』を手に取る事ができるかもです。
 百聞は一見にしかず。実際にプレイすれば、「ああ、これはstay nightではない、自分だけの聖杯戦争だ」と納得していただけると信じています。



  ◆

 ともあれ、発売まであと一ヶ月とちょっと。
 このあとはtype-moon的に大本命である『魔法使いの夜』が待っていますが、一足先に“RPGのシナリオライター”としての奈須きのこを楽しんでやってください。





2010/6/25 : お疲れさまでした(きのこ)
今月号のコンプエースで、「MELTY BLOOD(桐嶋たける著)」が無事、完結いたしました。
桐嶋先生、お疲れさま&ありがとー!


TYPE-MOONにおける正式ナンバーのコミカライズの中では最初のゴールでございます。
格闘ゲームの漫画化という難しいジャンルでしたが、毎月楽しませていただきました。
つーか前半の真面目なシオン編から、後半のカオス極まる遠野家編を真っ正面からよく……よく再現してくれた……!

あの振り幅の大きさこそが「月姫」にはない「メルブラ」の味。
来月には「佐々木版・月姫」も無事完結を迎えられそうだし、連載も巻数も仲良くゴールと相成りそうです。

ともあれ約五年間の長期連載、本当にお疲れさまでした!
アザース!


そして「Fate/stay night」は達人の領域である二桁巻コースに突入……
フフフ、こうなったらいけるところまで行ってもらおうじゃない……


  ◆◆◆

一方そのころ、きのこは仕事の合間に「GHOST TRICK」を楽しんでいるのであった。
ミサイル可愛いよミサイル。
逆転裁判の頃から痛いほど思い知らされていたけど、巧 舟さんはほんっと、いいプロットとテキスト書くわ……。
たった二十文字のウインドウで、なんであんなに面白いキャラ立てができるんだろう。

DS持っているのならプレイして損無しのゲームです。






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