2018/6/6 : フッさんはさぁ……(きのこ) |
□□□ ニコ生も終わり現実に戻るきのこ。 いよいよ明日、『Fate/EXTELLA LINK』発売です。 ずいぶん前に誌面のインタビューで語らせていただきましたが、今回は『EXTELLA』の続編ではなく、あくまで番外編となります。 今回の主役(メイン)はストーリーではなくシステム。 シナリオも軽めの、東映まんが祭りぐらいの規模で作られています。 『日々忙しくてムーンセルの平和とか人類史の守護とかそういう重い話はちょいノーサンキュー、今はただ気持ちよくアクションがしたいンだっ!』 『いいからドレイクを使わせてほしい。ロビンもな。ところでこのハートの王様みたいな新サーヴァントだれ?』 そんな趣旨で製作されたのが『Link』です。 前作から様々な部分が改善され、生まれ変わったハイスピードサーヴァントアクションをお楽しみください。 ◇◇◇ ところで、皆さん今年のGWは何をしていましたか? 近場の山にいってゆるっと岩塩プレートで肉とか焼いてた。分かる分かる。 徳島で美味しいソフトクリーム食べてた? 分かる分かる。 人類悪になってQP稼いでいた? 分かる分かる。 私はちょっとバイクに乗って一人旅をしてきました。 藤吉村とかいうマイナーな村なんですけどね。 軽い気持ちで足を踏み入れたら、そこはもう戻る事のできない魔の狩り場だった。 ◇ 民間伝承に支配される山村。 共通認識による封鎖空間と異常常識。 クソッタレ主人公。 訪れる禁忌の夜と、それを上回る戦慄の昼。 複雑に、しかし明確に語られる推理と理論。 ひとりまたひとりと『絶対に』減らされていく隣人たち。 超クソッタレ主人公。 死を乗り越え、畏れを理解し、世界を把握したあげく訪れる、 前回の最悪を押し潰す最悪の結末。 小さな世界は終わり、大きな世界も終わり、呪いは現実に侵食する。 もはや人智ではあらがいようがない怪異と悲劇がおまえを襲うだろう。 だが見るがいい。 人の知恵、解析の欲求は大いなる闇すら照らし上げた。 人智及ばぬ? バカを言え。 この宇宙に人間では及ばぬ存在はあれど、人智で倒せぬモノはなく。 ふわっとこの悪夢に巻き込まれた主人公は、 これ以上はない『人の知恵』で怪異も悲劇もけっ飛ばした。 ホントどうなってんだよこのクソッタレ主人公!(超大好き!) ◇ そう。なんの話かというと、 痛快恐怖推理ADVの傑作『レイジングループ』の話でしたーーー! 以前からテーブルゲーム『人狼』をテーマにしたADVだと聞いていたのですが、なかなか機会が掴めず様子見をしていたところ、Nintendo Switchで決定版が出たというので購入し、プレイしたのです。 『レイジングループ』については具体的な説明はすべてネタバレ……というか、プレイ時の面白さを削いでしまうので何も言えません。ただ、 『弟切草』『まかいたちの夜』『CROSS†CHANNEL』『ひぐらしの鳴く夜に』『京極夏彦・妖怪シリーズ』 これらの作品が好きな方は躊躇わずにプレイしてほしい。 『ひぐらしの鳴く頃に』の出題編の雰囲気が好きな人には更に特攻。 過去多くの才能あるクリエイターがこの『デスループ』というジャンルに挑んできました。 ADVゲームほど『死を繰り返す』物語に適したジャンルはないからです。 小説や映画、漫画ではどうしても段取りになってしまうトライ&エラーをプレイヤーの手で能動的に行える。 ゲームシステムそのものを『物語を語る』というギミックに使える。 『繰り返す』という行為が持つ面白さと恐ろしさを、自分自身の手で味わえる。 まさにゲームのためにあるジャンル、といっても過言ではないでしょう。 目を覆うほどの悲劇を見た。 アナタにはこれを変える力と知識が与えられた。 なら戸惑う事はない。 もう一度、もう一度この“悪人はない、しかし悪意によって狂いきった物語”を乗り越えてやる。 『レイジングループ』をプレイして五時間めあたりのプレイヤーは誰もがそう奮起する。 しかし世界はそんな単純ではなく、一つの問題をめくった後、よりおぞましい問題が現れるのです。 「なあ、そうだろう? 今度こそうまくいくと思っただろう? 今度こそマシな結末をたぐりよせると思っただろう? でも残念だったな。 おまえが知恵を回した事で、もっと最悪なものを呼び寄せるのさ―――!」 正体なき哄笑が聞こえる。 状況が変われば自分の属性も変わる。 立ちふさがる敵も変わる。 なにより、不明であった闇(オカルト)を知れば知るほど、 世界の価値観そのものが変動する。 ああ―――世界が 回転 する。 ループとは『物語を繰り返す』という意味だけでなく、 世界を回す、という意味もあるのだと、本作をプレイして痛感しました。 ループには理由があるべきであり、 オカルトには理屈があるべきであり、 完璧な科学的解析にはしかし、どうしてもぬぐえぬ闇があるべぎである。 相反する要素を組み込みながらも互いを否定しないシナリオ展開にはもう拍手する他ありませんでした。 閉鎖空間における人間関係。サイコヒロインさんこんにちは。民間伝承の強さと危うさ。ドジっこ巫女の魅力におちなかれ。宗教の根底にあるもの。かみさま可愛いよかみさま。それにしてもEXTRAシナリオの素材のなさはどうだ! 『レイジングループ』は確かなテキスト力ですらすらと物語に没頭させながら、ゲームそのものが持つ遊び心が詰まった傑作でした。 綺羅星の如く存在する『ループ物ADV』の中で、『レイジングループ』は新しい伝説を作ったのと思います。 そんな訳で、興味を惹かれた方はぜひプレイしてほしい。 老婆心ながら忠告すると金曜日の夜から始めるんだぞ。 すぐに「マジかよ、土日まるまる藤吉村にいられるなんて最高かよ」と噛みしめる事になりますよ。 それでは、長くなってしまいましたが今回はこのあたりで。 最後に、『レイジングループ』のEXTRAシナリオもクリアしている方にのみ通じるネタバレというか、心底「すげえ……」と思った事を語りたい。 (まだEXTRAクリアしてないならここからは読まないでね) タイトル画面のメインビジュアルあるじゃん。 あれで六車家のお守りがドーン!とあるけどさ。 逆さにして見ると堂々とアレの三眼そのもので、ものごっつい度胸と自信と遊び心に溢れたメインビジュアルだなって……ワシは心底痺れたよ。 |