そして、長い昏睡から両儀式は目覚めた。

後遺症として生まれた、物の死を視る眼。
ナイフだけであらゆる物を“殺す”事ができる力は、式を昏い世界へと誘っていく。

二年前の殺人鬼。
浮遊する幽霊の群れ。
物を視るだけで歪曲させる少女。
人の死を蒐集する螺旋建築。

数々の怪異と式の魔眼が衝突する時、忘れられていた記憶が蘇る───。

 『空の境界 式』は1998年10月から、ホームページ「竹箒」上にて掲載された奈須きのこの連作小説です。その第1〜4話は同人ソフト「月姫PLUS-DISC」に再録され「月姫」ファンの方にも好評をいただきました。
 しかし、第5話はすでにホームページ上での閲覧はできず、第6、7話に至っては身内だけの完全限定本としてコピー誌で作られた為に幻の作品になりつつあった『空の境界 式』ですが、「月姫」ファンを中心に全話読んでみたいという声が高まってきた為、新たに完全版『空の境界』として刊行されました。

 今回の製本化にあたって掲載時の物に加筆修正(主に修正)を加え、またビジュアル面では掲載当時もイラストを担当し「月姫」でも奈須きのことの抜群のコンビネーションを見せた武内崇がイラストレーションの全てを担当しています。

『空の境界』(上)(下)
総頁数/各400頁(全2巻)
価格/各1500円

同人ショップ各店にて委託販売中



■キャラクター紹介■

両儀 式(りょうぎ しき)
『空の境界』の主人公。
中性的な美形。淡泊な性格。
事故により二年間昏睡状態に陥る。
和服を普段着にする変わり者。
寒くなると、和服の上に皮のジャンパーを着る。

事故の後遺症か、物の”死”を見てしまう眼を
もってしまった。
不確かな生の実感。不確かな殺人依存症。
不確かな過去。不確かな基本人格。
無色。


黒桐幹也(こくとう みきや)
式の高校時代からの友人。いたって普通のひと。
それぞれの話における副主人公。
現在は大学を中退して就職している。

飾っていない黒髪と黒縁メガネが特徴。
人好きされやすい性格。本人にその自覚なし。
いたって普通の人間だが、物を探すという事にのみ
たぐい稀なる効果を発揮する。


蒼崎橙子(あおさき とうこ)
魔法使いになりそこねた魔術師。
メガネをつける→はずす、で人格を意図的に
スウィッチする。

二十代後半の女性。基本的にいじめっこ。
専行魔術はルーン。得意分野は人形作り。
工房「伽藍の堂」のオーナー。
冷たい人格のくせに、根はロマンティスト。
矛盾。
青子という妹がいる。



ストーリー紹介

空の境界 年表
1995年3月

4月
9月
1996年2月

1998年3月
5月

6月
7月
9月
11月
1999年1月

2月


式、高校に入学。幹也と知り合う。
2/殺人考察(前)
式、事故により病院へ。

幹也高校卒業。大学進学
幹也、橙子の活人形と出会う。
橙子と知り合い、大学を止める。
4/伽藍の洞
3/痛覚残留
1/俯瞰風景
5/矛盾螺旋
6/忘却録音

…殺人鬼、再来。


1/俯瞰風景

夏の終わり、少女の自殺者が相次いで出ているという話を聞いた。
死因は決まって高いビルの屋上からの転落死だという。
街で一番高いビルは、絵本で見る塔のようだ。
月の明るい晩には、転落した少女たちの幽霊が具現する。
―――落ちたというのに飛んでいるなんて皮肉だな、と蒼崎橙子はぼやいていた。
それは自殺というものの定義。命というものの感じ方の一つ。
……つまり、逃走には二種類ある。
目的のない逃走と、目的のある逃走。
一般に前者は浮遊と呼び、後者を飛行と呼ぶのだそうだ―――。

2/殺人考察(前)

それは、まだ彼らが高校生だった頃。
街では猟奇殺人事件が連続し、夜の街は正体不明の殺人鬼のためにその明るさを奪われていた。
黒桐幹也は両儀式と親しくなっていく中にあるもう一人のシキの存在を知らされる。
肯定の人格である式。否定の人格である織。
……殺人しか知らないという、織という少年。
続いていく猟奇殺人。殺人現場で恍惚と佇む両儀式。
この考察の結論は、三年後へもち越される。

3/痛覚残留

昏睡から目覚めたばかりの両儀式は、生の実感を持てないまま
蒼崎橙子の仕事に協力する事になる。
浅上藤乃。彼女につけられた傷は、完治した後でさえもその痛みを繰り返す。
痛みから逃れるために復讐を繰り返す少女は無差別な殺人鬼へと変貌していく。
無痛症。存在そのものが社会に不適合という人間。超能力という”現象”。
瞳に映るモノなら全てを歪曲させる少女の”眼”。
なつかしい夏の雨の中、両儀式は最高の殺害能力を持つ少女と衝突する事となる。

4/伽藍の洞

事故から二年たった、六月。
両儀式は長い昏睡から奇跡的に回復した。
だが目を覚ました両儀式は以前の両儀式とは違っていた。
欠落した感情と、不確かになってしまった生の実感。
なにか、決定的に空いてしまっている部分があると感じる式。
幽霊のようにぼんやりと存在している式は、
面会謝絶をされている病室で蒼崎橙子と名乗る魔法使いと出会う事になる―――。


全てを肯定するのなら、傷はつかない。
全てを否定するのなら、傷つくしかない。
ふたつの心はガランドウ。
肯定と否定の両端しかないもの。
その中に、なにもないもの。
その中に、わたしがいるもの。

5/矛盾螺旋

八卦ヲ束ネ四象ヲ回シ両儀ニ至ル
今宵、相克スル螺旋ニテ君ヲマツ


6/忘却録音

黒桐鮮花。兄を式から取り返す為に蒼崎橙子に弟子入りをした、黒桐幹也の妹。
彼女の通う全寮制の女学院で忘れられていた記憶が手紙で届けられる、という事件が起き始めた。
だが本人さえ忘れているという出来事を、如何にして採集するのか。
密閉された空間、外の世界の穢れが入らぬようにと閉ざされた学園に、
両儀式は生徒として侵入する。
封印指定。偽神の書と呼ばれる現象。乱される前の統一言語を操る魔術師が、
式の忘却した過去をカタチにする。
永遠を探している、と偽神の書は語る。
だが、オレンジ色の魔術師は謳う。
―――報われないね。永遠なんて、何処にでもあるっていうのに。



7/殺人考察(後)

過去を取り戻したモノは、その清算を迫られる。
再来する三年前の殺人鬼。
自己を殺人鬼だと否定できない両儀式は、黒桐幹也の前から消失する。
両儀式を探す黒桐幹也。再発した猟奇殺人は毎日のように繰り返される。
黒と白。
黒桐幹也は両儀式の真実と、三年前の事件の真相に辿り着く。

殺人という行為の、一つの考察。
―――橙子さん、人間が、人間を殺す理由はなんですか。
その答えは、そう突飛なものではなく。
極めて単純で、故に汎用性の高い、考察。



初出一覧
1/俯瞰風景
2/殺人考察(前)
3/痛覚残留
4/伽藍の洞
5/矛盾螺旋
6/忘却録音
7/殺人考察(後)
1998年10月 HP「竹箒」掲載
1998年11月 HP「竹箒」掲載
1998年12月 HP「竹箒」掲載
1998年12月 HP「竹箒」掲載
1999年 3月 HP「竹箒」掲載
1999年 8月 コミックマーケット56にて販売
1999年 8月 コミックマーケット56にて販売



■ダウンロード■


しおりに使用されていた画像のデータをダウンロードできます。
解像度が大きめに設定してあるため少々重いです。余裕のあるときにどうぞ。


幹也
橙子

※それぞれの見本画像から右クリックでファイルの保存を行ってください。
※個人で楽しむ範囲でご利用になってください。

■ 「空の境界」のしおりの配布についてのお詫び ■

コミックマーケット61において配布予定だった「空の境界しおり」の配布を中止させていただきました。
楽しみにしていただいた方々には、深くお詫び申し上げます。




詳細はこちら



■委託販売■


『空の境界』は現在、下記の同人ショップに取り扱い頂いてます。
在庫の有無については各ショップへ直接お問い合わせください。


委託店一覧
あきばお〜
ガタケットSHOP
ケイ・ブックス
たちばな書店
とらのあな
信長書店
ポプルス
ホワイトキャンバス
MAGMAG
まんだらけ
み〜誌屋
メッセサンオー
メロンブックス
遊林館

次回再版日/2003年2月14日予定



待望のドラマCD化決定!

 今回のCDドラマは原作の第1話「俯瞰風景」を元に、ドラマ脚本家によるオリジナルエピソードを追加。原作では殆ど出番のなかった幹也の妹・鮮花や荒耶宗蓮が登場するなど、原作とは一味違ったストーリーとなっています。
 
ジャケットイラストは勿論、原画・武内崇&彩色・こやまひろかずの1000万パワーズによる描き下ろし。
 ブックレットにはニトロプラスのシナリオライター・虚淵玄氏との「空の境界」対談も収録するなど、盛り沢山の内容でお届けします!

スタッフ
原作 奈須きのこ
脚本・構成 大森ごはん
編集制作 アレンジ かばやつよし
音楽 Lip on Hip

キャスト
両儀式 川上とも子   巫条霧絵 伊藤美紀
黒桐幹也 伊藤健太郎   荒耶宗蓮 中田譲治
蒼崎橙子 井上喜久子   秋巳大輔 上田祐司
黒桐鮮花 田村ゆかり        

■価格/3000円
■発売日/2002年8月9日

※一般のCDショップではお取り扱いいただいておりません。
ご購入を希望される方は「コミック虎の穴」へお問い合わせください。
 
  ■販売/Magic・Cage
CDについてのお問い合わせはこちらまで。

※現在Magic・Cageは存在しておりません。ドラマCDについてのお問い合わせをTYPE-MOON迄いただいてもお答え出来かねます。どうかご了承ください。(更新2003.7.7)
 

コメント/奈須きのこ
 驚いてますか? 驚いてますね。
 きっと誰よりもきのこ自身が驚いています。ビックリ度では負けません。

 さて、空の境界のドラマCDです。やめとけって感じです。あんな説明だらけのモンをドラマCDにするなんてまさに特攻野郎Aチーム。いや、むしろ冒険野郎マクガイバーでしょうか。どちらにせよどっちこもこっちも命がけです。

 だっていうのに、ドラマCDにしましょう、とご厚意をくださって、一から十まで力になってくれたスタッフの皆さん。
 奇怪な登場人物に命を抜き込んでくれた声優の皆さん。
 スケジュールが厳しい中、無理矢理にジャケット絵を描かせてごめんにゃー、武ちゃん&こやまさん。
 そしてそして、まだ秘密だけど色々やってくれるかもしれない紫の手袋の人!

 多くの人たちの力を分けてもらって、らっきょドラマCDは完成します。
 乞うご期待。
 自分も八月を楽しみに、このご厚意にお返しできるよう努力したいと思います。



関連リンク

武内崇&奈須きのこ『竹箒』

TYPE-MOONホームページ